実話

ガメラのような亀系の高さ5メートル、長さ15メートルぐらいの怪物が、住宅街の道路を闊歩しながら暴れまわっている。住民はベランダから何らかの不思議な薬品系の玉っころを投げて怪物を足止めしている。僕は単独行動をとっていて、怪物の死角になるところからもっと強力な何かを投げていた。ふと怪物がこっちに向かって火を吐いたのだが危機一髪避けた。右手と右足を火傷した。薬を塗ったら痛みが取れた。怪物は完全に僕を狙っており探し回っている。隠れている建物ごと吹き飛ばそうとしていたので、隣の建物に逃げ込んだ。その瞬間今までいた建物は吹き飛んだ。大ピンチ。

逃げ込んだ先は幼馴染の家だった。怪物騒ぎなんて知らぬといった具合で平和な日常が繰り広げられていた。何故かそこでおやつをご馳走になり、世間話をして和んでいたところで、やつの足音がした。そっと窓から外を見ると、ガメラではなくゴジラになっていた。目が合った。次の瞬間玄関から駆け出して一目散に一本道を駆け出した。その後その家がどうなったのかは見ていないが、幼馴染の家族の顔が思い浮かんだ。

一本道ということもあり覚悟をしつつ全力で逃げていたのだが、奴が迫りくる気配が無い。振り返るとさっきの家のあたりで椅子に座っている。且つそこからいま自分のいるところまで椅子が並んでおり、町民が椅子取りゲームを奴に挑んでいるところだった。奴の弱点はそう、挑まれた勝負からは逃げられない点だった。当然その隙に僕は学校へと逃げ込んだ。椅子取りゲームでは時間稼ぎにしかならないことはわかっていた。

逃げ込んだ学校は普通の公立小学校なのだが、校舎の壁が全部ディズニー系の壁画になっていた。見事なもので、表面の汚れからある程度の歴史が想像される。生徒が胸を張って言った。「うちの小学校はディズニーと契約をしている。普通は莫大な著作権料をディズニー側に支払わなければならないが、その契約内容ならば自由にディズニーキャラクターを扱える。なのでシンボルとして壁画を歴代の生徒が卒業制作で描いている。この伝統は後世に伝えなければならない。」なるほど、うまくやるものだと感心した。

奴は今校庭にいるらしい。椅子取りゲームの間にも僕が学校に逃げ込むのは奴には見えている。当然の結果だ。しかしそこで視聴覚室でゲームに興じていた生徒が奴に勝負を挑んだ。現実世界をリアルに再現したゲームだった。世界は香港。場所はホテル。外をみると北朝鮮の人たちが集団でパレードを行っている。見事なマスゲーム式パレード。街中が熱狂している。しかし奴はそこに現実世界の姿で現われ、一瞬でパレードを焼き払った。そしてこちらに向かって口をあける奴と目が合った。僕は普通に死んだ。

奴の能力だか何だかわからないが、気がついたらプレイをしていたのは僕だった。ゲーム内で死んだ僕が現実世界へと戻ったとき、そこにいる奴は2匹になっていた。大きいゴジラと小さいゴジラ。両方と目が合った。また死ぬのか。

とりあえず体格の差を利用して校舎内を逃げ回った。4階の音楽室から外をみると、奴らは校庭からこちらを伺っている。目が良いらしく、嗅覚や聴力といったものよりは、視覚に頼っているらしい。校舎内を逃げている以上、見つかることがないのを悟った。

校庭にいる奴らから死角になる裏門へは、4階から非常階段を使って降りることがわかっていた。非常階段へは渡り廊下を伝わらないとたどり着くことが出来ないが、それは両側が窓で出来ているため奴らに見つかる可能性が高い。もちろん目が合った。絶望感は増す一方だった。

奴らがたどり着くまでに1階へと降りなければならないので、一気に階段を駆け下りた。そのときちょうど1階からは警察に追われる何かの犯人が4階へ向かって駆け上がってきており、3階と2階の境目ですれ違った。顔は良く覚えていないが僕に似ていたような気がする。状況を悟った僕は1階に警官連中が大勢おり、このまま降りていけば犯人に間違えられて射殺される可能性があることがわかっていた。当然刑事に発砲され、複数の銃弾は頭皮と髪の毛の中間を通過し、鏡でみていないので不明だが、恐らく丸坊主になっていたはずだ。刑事たちは僕が他人であることがわかり、何だよ・・・といった顔で僕が逃げるのを見過ごした。そして僕は非常階段から飛び出した。

目の前で待ち構えていたのは奴らのうちの片方だった。大きいほうである。目もあった。ああ、死んだなと思った。だが僕に見向きもせずまた何かを探し出した。探しているのは僕ではないのかい?そう思ったがすぐに状況を察した。彼らは視覚に頼りすぎているため、髪型が変わった僕を他人と認識したのだ。単純な話だった。そうして僕は彼らから逃げ切った。

無事に帰ってきた僕と仲間たちは大いに喜んだ。しかし奴らは消えていない。またすぐに恐怖が襲ってくるのはわかっていた。でもみんな笑っていた。僕も何となく笑った。

っていう夢を見た。夢は普通忘れるものだがまだはっきり覚えているので書いてみる。